ActiveDirectoryのSYSVOLのレプリケーションプロトコルをDFSRへ移行した時のメモです。
SYSVOLについては以下が参考になります。
- Sysvol の保守に関する最良の方法 - Microsoft KB324175
- 管理者のためのActive Directory入門:第7回 Active Directoryの導入 (2/2) - @IT
なお、作業は以下を参考に行います。
- FRS から DFSR への移行 (SYSVOL) | Ask the Network & AD Support Team
- 付録 D: SYSVOL 移行ツールの操作 - TechNet
- Active Directory 移行作業: Windows 2000ドメイン --> Windows 2008 R2ドメイン - KoHの備忘録
環境
移行前
移行後
流れ
FRS から DFSR への移行 (SYSVOL) | Ask the Network & AD Support Teamにある、4) DFSR に安全に移行する為の手順
に従って実施します。
PDCにて、現状の確認
SYSVOLのレプリケーションプロトコルとしてFRS・DFSRのどちらを使っているかは、Adsiedit.msc
を実行し、スナップインから詳細を確認します。
Adsiedit: Active Directory
その結果、
CN=DFSR-GlobalSettings
が存在しないCN=File Replication Services
は存在した
だったため、
ということが分かりました。
PDCにて、ドメインの機能レベルを2008以上に上げる
サーバーマネージャー > 役割 > Active Directory ドメイン サービス > Active Directory ユーザーとコンピューター > [対象ドメイン] で右クリック、ドメインの機能レベルの昇格
を選択し、ドメインの機能レベルを2008以上にします。
PDCにて、ファイルサービスの役割サービスを追加
サーバーマネージャー > 役割 > ファイルサービス で右クリック、役割サービスの追加
を選択します。
役割サービスの選択画面で、DFS 名前空間
を選択し、追加します。
その後、Adsiedit.msc
にて状態を確認すると、CN=DFSR-GlobalSettings
にデータが存在するようになりました。
移行作業
dfsrmig.exe /CreateGlobalObjects を実行
>dfsrmig.exe /CreateGlobalObjects DFSR の現在のグローバル状態: '開始' 成功しました。
実行結果を確認します。
# 確認1 >dfsrmig.exe /GetGlobalState DFSR の現在のグローバル状態: '開始' 成功しました。 # 確認2 >dfsrmig.exe /GetMigrationState すべてのドメイン コントローラーがグローバル状態 ('開始') に移行しました。 移行状態が、すべてのドメイン コントローラー上で整合性のとれた状態になりました。 成功しました。
確認3:AD データベースの状態については、
- ADSIエディターのルート(
既存の名前付けコンテキスト
)を右クリックし、最新の情報に更新
CN=System
の下に、CN=DFSR-GlobalSettings
ができている
と、確認が取れました。
dfsrmig.exe /SetGlobalState 1 を実行
>dfsrmig /SetGlobalState 1 DFSR の現在のグローバル状態: '開始' 新しい DFSR のグローバル状態: '準備完了' '準備完了' 状態に移行します。DFSR サービスによってSYSVOL が SYSVOL_DFSR フォルダーにコピーされます。 いずれかの DC で移行を開始できない場合は、手動ポーリングを試行してください。 または、/CreateGlobalObjects オプションを指定して実行してください。 移行は 15 分から 1 時間までの任意の時点で開始できます。 成功しました。
実行結果を確認します。
# 確認1 >dfsrmig.exe /GetGlobalState DFSR の現在のグローバル状態: '準備完了' 成功しました。 # 確認2 >dfsrmig.exe /GetMigrationState 次のドメイン コントローラーは、グローバル状態 ('準備完了') と同期していません: ドメイン コントローラー (ローカル移行状態) - DC の種類 =================================================== Other_DC ('初期同期の待機中') - Writable DC 移行状態が、すべてのドメイン コントローラー上で整合性のとれた状態にまだなっていません。 AD の待ち時間が原因で状態の情報が最新になっていない可能性があります。
確認2が未完了でした。
そのため、イベントビューア > アプリケーションとサービスログ > DFS Replicationのログ
にて、ID 8010
と8014
が出力されるのを待ったところ、
- PDCでは、約5秒で完了
- SDCでは、約5分ほどで完了
でした。
なお、ID 8014
の出力後に、コマンドプロンプトにて確認したところ、
>dfsrmig.exe /GetMigrationState すべてのドメイン コントローラーがグローバル状態 ('準備完了') に移行しました。 移行状態が、すべてのドメイン コントローラー上で整合性のとれた状態になりました。 成功しました。
完了していました。
また、PDCでは、
CN=System > CN=DFSR-GlobalSettings > CN=Domain System Volume > CN=Topology
の中に、各ドメインコントローラが存在C:\Windows\SYSVOL_DFSR
ディレクトリが、プライマリドメインコントローラに存在
の確認も取れました。
dfsrmig.exe /SetGlobalState 2 を実行
ダウンタイムが発生するそうなので、使用中のユーザが少ない時間帯などに実行します。
リダイレクト済み状態への移行 - TechNet
>dfsrmig.exe /SetGlobalState 2 DFSR の現在のグローバル状態: '準備完了' 新しい DFSR のグローバル状態: 'リダイレクト済み' 'リダイレクト済み' 状態に移行します。SYSVOL 共有が、DFSR を使用してレプリケートされた SYSVOL_DFSRフォルダーに変更されます。 成功しました。
PDCにて結果を確認します。
>dfsrmig.exe /GetGlobalState DFSR の現在のグローバル状態: 'リダイレクト済み' 成功しました。
グローバル状態は成功しているようです。
一方、
>dfsrmig.exe /GetMigrationState 次のドメイン コントローラーは、グローバル状態 ('リダイレクト済み') と同期していません: ドメイン コントローラー (ローカル移行状態) - DC の種類 =================================================== <PDC名> ('準備完了') - Primary DC <SDC名> ('準備完了') - Writable DC 移行状態が、すべてのドメイン コントローラー上で整合性のとれた状態にまだなっていません。 AD の待ち時間が原因で状態の情報が最新になっていない可能性があります。
他のDCへはまだ伝わっていないようです。
伝わるまでの時間を手元で計測したところ、イベントログにはID 8015
と8017
が1秒程度で出ていました。一方、dfsrmig.exe /GetMigrationState
にて
>dfsrmig.exe /GetMigrationState すべてのドメイン コントローラーがグローバル状態 ('リダイレクト済み') に移行しました。 移行状態が、すべてのドメイン コントローラー上で整合性のとれた状態になりました。 成功しました。
と表示されるまでには、5分程度待ちました。
あとは、dfsrmig.exe /SetGlobalState 3
を実行し、削除済にすれば完了です。
所要時間
参考程度となりますが、手元では
dfsrmig /SetGlobalState 1
は約5分dfsrmig.exe /SetGlobalState 2
も約5分
でした。
ただ、dfsrmig.exe /SetGlobalState 2
実行時に発生するダウンタイムについては、いつ発生していたのかは分かりませんでした。